先月、総務省が「ふるさとワーキングホリデー」という制度を発表したことをご存知でしょうか?
⇒ 2016/08/17 経済新聞 「若者、都市から地方へ「ワーキングホリデー」に国内版 総務省創設」
「ふるさとワーキングホリデー」は、都市部在住の若者が長期休暇を使って、1週間~1カ月ほど地方の製造業、農業などに従事することができる制度。総務省によると、人口減が進む地方の人手不足解消や消費の押し上げ、移住促進などの狙いがあるとされています。
この発表に対し、「休暇に働くというのは矛盾している!」「若い労働力を安く集めようとしている!」といった厳しい意見もあったようです。
その中でも一番多かったのが、通常の「ワーキングホリデー制度」との相違点に対する指摘でした。今回は、従来のワーキングホリデーとふるさとワーキングホリデーの違いについて紹介していきます。
■ ワーキングホリデーは何のためにある?
従来のワーキングホリデー制度は、「2ヵ国間の協定に基づいて、その国の言葉を学び、文化や生活、就学 / 就労体験出来る特別なビザ制度」のことです。休暇を主とした国際交流の支援が制度本来の目的であり、現地での就労は「1年間にわたって外国で生活するためには、一定の収入が必要であることから、旅行、滞在等のための資金を、現地で働きながら獲得することを認めている」という、二次産物的なものになります。
あくまで休暇を目的としている制度なので、「働く場所を決めて渡航」することは原則禁じられているんです!意外ですね~。
その代わり、一度ワーキングホリデーが始まれば、ずっと仕事をしてお金を稼いだり、語学学校に通ったり、各地を転々として観光をしたりと、現地についてからの自由度は非常に高いことも覚えておいてください。
今回の「ふるさとワーキングホリデー」は、どちらかと言えば「労働」に重点が置かれているように発表されたため、「休暇を目的とした従来のワーキングホリデーと異なる」「ややこしい」という意見が多く出てきたように感じられます。
■ 海外でのワーキングホリデーでも農業は人気の職業!
そもそも、農業、畜産、酪農、製造業といった業種は、ワーキングホリデー中の就労先としてとても人気の高いことをご存知でしょうか。特にオーストラリアでは「セカンドワーキングホリデー」を取得するために、非常に多くの人が第一次産業で働きます。
なので、「田舎に行って働く」こと自体は問題ないように思えます。ただ、海外でのワーキングホリデーであれば、その国の言語を身につけることができるほか、しっかりと時給も出るので生活費を稼ぐことも可能です。このあたりが「ふるさとワーキングホリデー」と「従来のワーキングホリデー」の大きな違いではないでしょうか。
■ 「ふるさとワーキングホリデー」は根付くのか?
現状では「若者が休暇を使って、地方の製造業、農業などに従事することができる制度」としか発表されていませんが、総務省としては「国内版ワーキングホリデー」という、働きながら地域住民の皆様との交流などを通じて地域の暮らしを学べるようになるための制度を目指すようです。
ふるさとワーキングホリデーはは2017年から開始されると発表されていますが、総務省自体もまだ話が決まったばかりで、わからないことが多いようです。「将来的には報道にあったように人手不足解消、移住促進などの効果が見込めるかもしれない」としつつも「現在はそこまで考えてない。都市部の学生が地域の人々と交流したり、職業体験したりする国内版ワーキングホリデーのスタートアップ支援をするのが目的」と回答されています。
まだまだ概要が発表されただけなので、今後具体的にどのような案内がされるのか、目が離せませんね!