こんにちは。
ロンドンから定期的にイギリスのEU離脱について書いている杉です。
今週にBrexitを巡る重要なEU サミットが近づいてくる中、今回は”Brexitとアイルランド”についてお話します。
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イギリスの正式名称
本題に入る前に、イギリス: UK(The United Kingdom)の正式名称を改めて見てみましょう。
The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland: グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
これがイギリスの正式名称です。
英語にも日本語にも、バッチリNorthern Ireland: 北アイルランドが入っていますね。
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ちなみに、アイルランドの首都ダブリンは緑のアイルランドの中にあります。
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EUから離脱するのはイギリスのみ
さて、ここからが本題です。
今回、EUから離脱するのはイギリスのみです。
アイルランド(Republic of Ireland: アイルランド共和国)もEU連合に加盟している一つの国であり、今回のことでEUから離脱する道理は勿論ありません。
EUから離脱すると決めたのはイギリスなんだから。勝手にしてよ。
しかし上記の通り、北アイルランドはイギリスの一部です。
つまり北アイルランドはイギリスと一緒に、EUから離脱することになります。
ところが、アイルランドと北アイルランドの間(緑とピンクの間)には、物理的なボーダーがありません。
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貿易について
以前シングルマーケットの記事で書いた通り、EUの中では関税は起きません。
例えばドイツで作られた商品がアイルランドに渡る場合、EU間の移動になるため関税は発生しません。
すると、アイルランド本土から国境の無い北アイルランドへの物の移動、さらにそこから同じ国であるイギリス本土に物が渡ることが可能になってしまいます。
その逆も然り。
EUはEU内の貿易の質を守りたい –
しかし例えば、アジアからイギリスに物が渡り、上と逆のルートで物流があった場合、EUの関税やチェックを通らない物品がEU内に入ってくることになります。
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ここで、イギリスのEU離脱後のアイルランドのあり方に、いくつかの可能性が出て来ます。
イギリスとEUは北アイルランドをEUと同じルールで貿易ができることを提案しますが –
これはアイルランドに反対されます。
じゃあここで予防策としてイギリス全土をシングルマーケットに維持する –
しかしこれはBrexit強行派(ハードブレクジッター)に反対されます。
それぞれの言い分の間から、アイルランドのあり方がどうなるのか –
イギリスのEU離脱がそこまで迫ってきた現在でも、誰にも想像することができません。
そして今週にはついに、Brexitの重要な部分を決めるEUサミットがあります。
(前回の記事を参照)
今この瞬間にはイギリスにもEUにもアイルランドにも、誰にも確実なことが言えません。
どんな方向にせよ、今週のEUサミットで大きな動きがあるはずです。
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ロンドンでの生活
好きだったイギリスのバンドのコンサートに行ったり、村上春樹さんの著作の記念イベントに行ったり –
自転車に乗って街の中の色々なところに足を運んでいます。
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今回は話題のアイルランド: ダブリンに住むろくでなし子さんとのエピソードです。
4年前の逮捕をきっかけに国際結婚し、ダブリンに渡ったろくでなし子さんに話を聞いています。
( 文 : 杉 浩毅 )
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