キャンファの花と胸の痛み

    キャンファの花が咲き出した。
    ほんのり香るこの花が咲くと、日本の沈丁花の様にGold Coastの春だ。

     

    沈丁花と同じで、この花が咲くと物悲しくなる。
    旅立ちの時期だから、別れの時期でもあるのだ。

     

    これから1~2ヶ月、長期でここで勉強をしてきた生徒たちの卒業が続く。
    一人ひとり思い入れがあり、その生徒たちがいないInforumを考えると、胸が痛むのだ。

     

    今日は、生徒・生徒会員・契約社員をインフォーラムで体験したQuentinが旅立っていった。

     

    フランス出身のQuentinは4歳の頃から、一つの国に3~4年も滞在すると
    また未開の地を目指して旅をする母に連れられ、既に5カ国での生活を経験済み。

     

    現在はバヌアトゥ島に住所がある。
    そんな生活のせいか彼は、物心ついたころから飛行機を眺めてはパイロットになりたい
    と夢を見ていたらしい。その夢は今でも変わらず、その夢の地に適しているかの視察も兼ね
    二十歳になったばかりでGold Coast、Inforumへ英語の勉強にやってきたのだ。

     

    Gold CoastもInforumも痛く気に入り、生徒会に応募し採用。生徒会員として今年4月の末までInforumで活動した。
    若いのに落ち着いて物事に取り組む彼は、頭の良さもあり、何を任せても期待以上の仕事をし私たちを驚かせた。

     

    Inforumを卒業後、5月末には仕事をしながら大学に通うため、Gold Coastを離れメルボルンへ向かった。
    彼なら出来る。みんな、そう信じて疑わなかった。

     

    しかし7月になると、彼のシェアメートだった生徒から、Quentinがたった2週間でメルボルンを離れバヌアトゥへ戻ったことを聞かされた。
    何があったのだろう。。。

     

    そんな時、偶然にも8月中旬から1ヶ月間ホリデーに行くダイアナの代役をするはずだったスタッフの都合が悪くなり
    トレーニングなしでも率先力になるバイトが必要になった。
    Quentin!とすぐに思いつき彼へ声をかけると、1週間後にはInforumへ戻り、昨日まで仕事をしてくれていたのだ。

     

    バイト中5時が過ぎ生徒たちが帰ると、私とSimonのオフィスへ来ては色々な話をする彼。
    私たちの(少ないが)人生経験、将来のアドバイス、他人に聞かれた事も無い個人的な事も聞いてくる。
    好奇心で聞いているのではないのがわかるため、しっかり向かい合い、毎日何時間も親子のように語り合った。

     

    彼の口からも、メルボルンという土地が合わず逃げ出してしまったこと
    パイロットになるための授業料が1000万円以上するため夢をあきらめかけている事
    一つの土地に止まる性格ではないのに、Gold CoastとInforumに惹かれてしまっている事の他、個人的な話が沢山された。

     

    生徒たちがアドバイスを求めて来るたびに、私達は「自分の子だったら」と想定し、本気でアドバイスをする。
    彼が本当の息子なら私達は、彼の性格、能力からパイロットの夢を捨てるべきではないことをアドバイスするだろう。
    Inforumは彼の職場としては器が小さすぎこと伝えるだろう。
    自分の未来は自分で切り開け!自分の夢は自分で勝ち取れ!と伝えるだろう。
    バイトで1000万は何年経ってもたまらない、と現実を伝えるだろう。
    でも、彼の母と同じく、私たちにも1000万の援助は無理だと伝えるだろう。

     

    Simonと私にとっても、Inforumを始める事は大きな夢だった。
    それを叶えるために半年間、毎晩友人達と語り合い、畳3枚分の大きさの紙に夢実現までの計画・実行項目を書いていった。
    その話をじっと聴いていたQuentinが次の日、A4ノート10ページの計画・実行案を持ってきた。
    一睡もせずに書き上げたらしい。覗き込むとなかなか悪くない。
    私の意見が書き込まれ、Simonの意見が書き込まれる。

     

    いつの間にか毎夕方の親子会話は、彼の夢実行のための戦略会議となり
    2週間後にはすべて叶えば誰にとってもWin-Winとなる立派な人生の計画表が出来あがった。
    その夢ノートと必要な「小道具」を持ち、彼は今日、明日のビザの期限日を前にフランスへ旅立って行った。
    “See you in January.”

     

    寮には彼の自転車が残され、寮の予約帳にはちゃっかり彼の名前で1月よりブッキングがされていた。

     

    胸が彼のいない寂しさで痛い。
    すでにMissing himなのだ。

     

    でも、頼もしく感じている。彼を信じている。
    これが、旅立つ子を送り出す母親が感じる痛みと誇りなのか。
    子供のいない私には到底わかりえないが、きっとそうなんだと思う。

     

    そんな事を感じ考え、コンピューターのスクリーンをぼんやり見ていると、ピ~ン、とメールが到着した。
    「Jun, Jet Starがセールしていたので、とうとうチケットをかいました。」生徒会で3年前に卒業したRyotaからだ。
    3年越しでRyotaとも夢実行計画を練ってきていた。

     

    彼の計画も進行中。IELTS6.5を目指しに5月に戻ってくる。
    寂しがってはいられない。夢ノートを持っているInforumの子供たちは他にも沢山いるのだから。

     

    Jun

    この記事の内容は 2013年09月15日 (日) に書かれたものです。

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    この記事の内容は 2013年09月12日 (木) に書かれたものです。

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    同志の夢も一緒に

    インフォーラムの生徒たち、毎日ドラマがいっぱい。その中の良い話を今日は紹介しますね。

     

    ブラジルから来ているロドリゴ(仮名)は20代後半、大学ではホテルマネジメントを専攻。
    ホテルに就業中英語の必要性を感じ、Inforumへ英語習得の為にやってきた。
    ポジティブでいつもにこやか。
    姿勢と礼儀が正しく、話し方もソフトで、受付に斜め向かいに立ちながら重ねる両手はホテルマンそのものだ。

     

    そんな彼がある日、学校に来て数分と経たないうちに顔を真っ赤にして受付に来たと思ったら、そのまま泣き崩れてしまった。
    Solがインタビュールームへ抱えるように連れて行き、ポルトガル語で話を聞く。

     

    なんと、大の親友が亡くなった知らせを、学校へ来た直後に家族から知らされたのだ。
    小学校から一緒だった親友とロドリゴは、貧困から脱出する唯一の鍵は教育!、と
    二人で一緒に励ましあいながら汗し大学の費用を稼ぎ、ロドリゴはホテルマネジメントへ
    親友はビジュアルアートとフォトグラフィーを専攻したのだった。

     

    ロドリゴがカスタマー・マネージャーへと出世するのと同時に、親友の写真の腕も世間に認められ、
    ロドリゴがオーストラリアへ出発する頃には、若手売れっ子フォトグラファーとなり成功への道を上がり始めていた。

     

    そんな親友が、ビルの屋上での撮影の時に、屋上から足を踏み外したのだ。
    あまりにもショッキングな話に私たちも立ち尽くしてしまった。
    貧困より成功へと向かって一緒に進んできた親友は一緒に戦ってきた戦士であり同志だったのだ。
    それがこの様な事になるとは、どう、慰めろというのだ。

     

    さっと部屋から出たダイアナがファイル室に入ると、長年の書類がたまった棚を何かを探しガサゴソ始め、
    「昔、ポーランドの生徒がくれて、そのままになっていたの思い出した」と、ヴォッカを持ってきた。
    Simonの ‘Go ahead!’ で DianaとSolでロドリゴの慰めの杯が始まった。
    ヤケ酒、あまり良い響きではないが、皆一生に一回、「ヤケ酒でもかっくらわないと」しのげない事に対面する。
    それがロドリゴには今なのだ。

     

    どんなに二人で頑張って来たかの思い出話し、頑張れば救われる、という信念が崩された事への無念、
    同志を無くし、戦い方を見失った絶望感が涙と一緒に繰り返し語らた。

     

    その日から1週間、クラスメート、同じブラジルから来た友人たち、スタッフに支えられながらロドリゴには少しずつだが笑顔が戻ってきた。
    そして彼がサイモンのオフィスにやって来た。
    ”Simon, do you have some time now? “ “Of course!”と迎えるサイモンに彼は座るなり宣言した。

     

    「Simon 、僕は今、失望しきっています。
    でも、亡くなった親友は僕のこんな姿を見たくないと思う。
    彼は僕の成功を心から祈っていたから、僕は今まで以上にしっかり勉強して、彼の分まで誰よりも成功してみせる。
    支えてくれてありがとう。でも、もう大丈夫。頑張るから見ててね。」

     

    更に1週間後、Simonの机の上には彼の6ヶ月延長を希望する申込書が置かれた。
    ビザの再申請も無事に済み、にこやかに、新たなる目標と希望を持って勉強をしている彼の背筋は、
    ホテルマンの姿勢の良さだけではない人生へのチャレンジで、前より数段毅然として見えた。

    この記事の内容は 2013年08月13日 (火) に書かれたものです。

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