
この記事の要点:ワーキングホリデービザで来日した外国人は、原則として雇用保険に加入できません。しかし、外国人雇用状況の届出義務や労災保険への加入など、事業主が守るべきルールはあります。本記事では、ワーホリ制度における雇用保険の取り扱いを明確にし、あなたが日本で働けるように、手続きの流れと注意点をわかりやすく解説します。
1. ワーホリと雇用保険の原則:まず知っておくべきこと
ワーキングホリデー(在留資格「特定活動」)で来日した外国人は、来日目的が休暇であり就労ではないため、雇用保険は原則として適用除外です(出典:栃木県国際交流協会)。他の就労系在留資格や日本人とは異なり、週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがあっても、雇用保険の被保険者にはなりません。この点は非常に重要であり、誤解を招きやすいため、最初にしっかりと理解しておく必要があります。ワーホリビザは「求職」を目的としないため、たとえアルバイトなどで十分な労働時間を満たしたとしても、雇用保険の加入資格は発生しません。
2. 雇用保険加入要件:そもそも誰が加入できるのか?
雇用保険の被保険者となるための一般的な要件は以下の通りです。国籍を問わず、これらの条件を満たす場合は原則として加入できます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
しかし、ワーキングホリデーの場合は例外となります。上記の条件を満たしたとしても、雇用保険に加入することはできません。判断基準は、実際の労働時間の増減ではなく、雇用契約書や労働条件通知書に記載された所定労働時間です。例えば、週20時間勤務の契約であっても、実際にはそれ以上の労働時間が求められる場合でも、雇用保険の適用はありません。
2.1 加入要件の補足:実質的な判断基準
「所定労働時間」は、雇用契約書に明記された労働時間を指します。口約束だけでは不十分であり、書面による証拠が必要です。また、試用期間中の労働時間は、所定労働時間の算出に含まれます。もし、試用期間中に週20時間未満の勤務であったとしても、その後の本採用時に週20時間以上の勤務となるのであれば、雇用保険への加入が可能となります。
3. 今後の改正:2028年10月からの変更点とは?
改正雇用保険法により、2028年10月1日から雇用保険の加入要件が拡大されます。週所定労働時間の要件が「20時間以上」から「10時間以上」へ短縮される予定です(出典:厚生労働省)。これは、より多くの人々を雇用保険の対象とすることを目的としたものです。しかし、これはあくまで将来的な変更であり、現時点(2026年8月)では週20時間が現行の基準となります。この改正は、パートタイム労働者や短時間労働者の雇用保険加入を促進する効果が期待されています。
3.1 改正による影響:ワーホリへの影響は?
2028年の改正により、週10時間以上の労働時間で働くワーキングホリデー在留者が雇用保険に加入できるようになるわけではありません。ワーキングホリデーの根本的な原則(就労目的ではない)が変わらない限り、雇用保険の適用除外となる点は変わりません。
4. 労災保険:ワーホリでも必ず加入できる制度
労災保険(労働者災害補償保険)は、在留資格を問わず、ワーキングホリデーを含む外国人労働者に一律に適用されます。事業主が1人でも外国人を雇用する場合、労災保険への加入義務があります。保険料は全額事業主負担となるため、従業員であるあなたは保険料を負担する必要はありません。労災保険は、業務上の事由による負傷や疾病、通勤災害などを補償するものです。
4.1 労災保険の重要性:万が一に備えて
ワーキングホリデーで働く場合、予期せぬ事故や怪我が発生する可能性もあります。そのような場合に備え、労災保険への加入は非常に重要です。万が一、業務中に怪我をしたとしても、治療費や休業補償などが支給されます。事業主は、外国人労働者を雇用する際には、必ず労災保険に加入するようにしてください。
5. 外国人雇用状況の届出:事業主が守るべき義務
外国人を雇用する全ての事業主は、在留資格「外交」「公用」および特別永住者を除く外国人について、雇入れ・離職の際にハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります(出典:厚生労働省)。ワーキングホリデーで雇用保険の被保険者にならない場合でも、この届出は必要です。
5.1 届出様式と提出期限
- 雇用保険の被保険者になる場合: 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)を雇入れから翌月10日までに提出します。喪失の場合は、様式第4号を離職後10日以内に提出します。
- 雇用保険の被保険者にならない場合(ワーホリ等): 外国人雇用状況届出書(様式第3号)を雇入れ・離職とも翌月末日までに出す必要があります。
5.2 届出違反の罰則:事業主の責任
外国人雇用状況の届出を怠る、または虚偽の届出を行った場合、労働施策総合推進法に基づき30万円以下の罰金が科せられる可能性があります(出典:厚生労働省)。事業主は法令遵守を徹底する必要があります。未届の場合や内容に誤りがある場合は、速やかに修正し、ハローワークへ再提出してください。
6. 令和7年度の雇用保険料率:知っておくべき金額
令和7年度(2025年4月1日~2026年3月31日)の雇用保険料率は以下の通りです(出典:厚生労働省 山形労働局)。
| 事業の種類 | 労働者負担 (千分率) | 事業主負担 (千分率) | 合計 (千分率) |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5.5 | 9 | 14.5 |
| 農林水産・清酒製造 | 6.5 | 10 | 16.5 |
| 建設の事業 | 6.5 | 11 | 17.5 |
雇用保険料率は年度によって変更されるため、常に最新情報を確認するようにしましょう。事業主は、これらの料率に基づいて雇用保険料を計算し、納付する必要があります。
7. 健康保険と厚生年金:ワーホリでも加入できる?
健康保険・厚生年金保険は雇用保険とは加入基準が異なります。ワーキングホリデー在留者であっても、労働時間や賃金等の適用条件を満たせば、日本人と同様に加入対象となる場合があります。ただし、健康保険と厚生年金の加入要件は複雑であり、個々の状況によって判断が異なります。
8. よくある質問(FAQ)
Q. ワーキングホリデービザで日本に来て働いている場合、雇用保険に加入できますか? A. 原則として加入できません。ワーキングホリデーの目的は休暇であり就労ではないため、週20時間以上働いても雇用保険の被保険者となる資格はありません(出典:栃木県国際交流協会)。
Q. 外国人を雇う場合、事業主はどのような手続きが必要ですか? A. 雇用保険の加入要件を満たさない外国人であっても、外国人雇用状況の届出を行う義務があります。雇入れ・離職の際にハローワークへ様式第3号を提出する必要があります(出典:厚生労働省)。また、労災保険への加入も必須です。
Q. 労災保険はワーキングホリデーでも適用されますか? A. はい、適用されます。労災保険は在留資格を問わず、外国人労働者に一律に適用される制度です。事業主が加入義務を負います。
Q. 雇用保険料率は毎年変わりますか? A. はい、年度によって変更される場合があります。令和7年度(2025年4月1日~2026年3月31日)の雇用保険料率は、一般事業で労働者負担が5.5/1000、事業主負担9/1000、合計14.5/1000です(出典:厚生労働省 山形労働局)。
Q. ワーキングホリデー在留者が雇用保険に加入できるケースはありますか? A. 原則としてありませんが、例外的に就労資格が得られた場合(例:技能実習ビザへの切り替え)には、雇用保険の被保険者となる可能性があります。
Q. 外国人雇用状況届出書の様式はどこで入手できますか? A. 厚生労働省のホームページからダウンロードできます。また、ハローワークでも入手可能です(出典:厚生労働省)。
9. まとめと次の一歩
ワーキングホリデーでの雇用保険の取り扱いは複雑ですが、原則として加入はできません。しかし、外国人雇用状況の届出や労災保険への加入など、事業主が守るべきルールがあります。本記事で解説した内容を参考に、あなたが日本で働けるように準備を進めてください。
次の一歩:
- ハローワークのホームページで、外国人雇用に関する最新情報を確認しましょう。
- 厚生労働省のホームページから、外国人雇用状況届出書の様式をダウンロードし、必要事項を記入してください。
- 労災保険への加入手続きを行いましょう。
- ワーキングホリデー在留者として働く場合、健康保険や年金などの社会保障制度についても調べておきましょう。
本記事は2026年8月13日時点の情報を基に作成されています。法令や制度は変更される可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。


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