
この記事の要点:ワーキングホリデーで日本で働く際、外国人との間で交わす契約書に注意が必要です。労働条件の明示義務や、言語によるトラブルを防ぐために何が求められるのか、日本の法律に基づき解説します。
ワーキングホリデー制度とは?
外務省によれば、ワーキング・ホリデー制度は、相手国・地域との間で締結された協定に基づき、青年が休暇を過ごすことを主目的とし、その休暇の付随的な活動として就労を認めるものです(令和8年4月1日現在、32か国・地域と協定)。この制度の趣旨は、異文化理解を深め、国際交流を促進することにあります。単なる労働力提供を目的にしたものではなく、休暇が主であり、就労はその活動の一環として位置づけられています。令和8年4月1日現在、ワーキングホリデー協定を結んでいる国・地域は32か国・地域です。対象年齢は原則18〜30歳ですが、オーストラリア・カナダ・韓国・アイルランドとの間では基準が18歳以上25歳以下の場合があります。各政府当局の判断により、これらの国籍の方々は30歳以下でも申請できる場合があります。
雇用契約書(労働条件通知書)とは?
日本で働ける外国人に雇用主は、労働基準法第15条に基づき、賃金や労働時間などの労働条件を書面で明示する義務があります。これは国籍を問わず、外国人にも適用されます。この義務は、労働者が自身の権利を知り、適切な労働環境で働くための基盤となります。厚生労働省は、この明示義務を果たすための「モデル労働条件通知書」を日本語だけでなく、英語版など複数言語で提供しています。これは、外国人労働者が内容を理解しやすくするための配慮です。
契約書の言語について
法令上、雇用契約書や労働条件の明示を必ずしも英語で行う必要はありません。日本語での明示でも法的要件は満たしうるのです。しかし、外国人労働者が日本語を十分に理解できない場合、誤解が生じやすく、トラブルの原因となる可能性があります。そのため、厚生労働省は多言語でのモデル労働条件通知書の活用を促しています。モデル労働条件通知書は、雇用契約の内容を明確に伝え、労働者の権利を守るための重要なツールとなります。報道や実務情報では英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・タガログ語・インドネシア語・ベトナム語の8言語が対応しているとされていますが、正確な言語数の内訳は厚労省公式ページ本文からは直接確認できません。
2024年4月の労働条件明示ルール改正で変わったこと
2024年4月1日施行の労働基準法施行規則改正により、全ての労働者に対して、就業場所や従事する業務の変更範囲を明示することが義務付けられました。これは、労働者が自身のキャリアプランに沿って働けるようにするための措置です。また、有期契約労働者には更新の上限や無期転換の機会・条件なども通知する必要があります。これにより、有期契約労働者の雇用安定化が図られます。具体的には、契約期間満了後の再就職活動を円滑に進められるよう、無期転換についての情報提供が義務付けられました。
ワーキングホリデー中の給与と最低賃金
令和7年度(2025年10月以降)の全国加重平均最低賃金は時間額1,121円です(前年度比+66円)。この数値は、労働者の生活を支えるための重要な指標となります。地域別では、東京都が最も高く1,226円、高知県・宮崎県・沖縄県が最も低い1,023円となっています。ワーキングホリデーで働く場合も、これらの最低賃金は適用されます。これは、外国人労働者と日本人労働者が平等に扱われることを意味します。
| 都道府県 | 最低賃金(令和7年度) |
|---|---|
| 東京都 | 1,226円/時間 |
| 高知県 | 1,023円/時間 |
| 沖縄県 | 1,023円/時間 |
| 全国加重平均 | 1,121円/時間 |
最低賃金は毎年見直され、物価や経済状況に応じて改定されます。厚生労働省がその目安を公表し、各都道府県が独自に決定します。
就職活動と契約時の注意点:具体的なステップ
ワーキングホリデーでの就職活動は、ご自身で行うことも可能ですが、専門の知識を持つ協会に相談することで、よりスムーズに進めることができます。当協会では、求人情報の提供だけでなく、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策や労働条件交渉のサポートも行っています。
- 情報収集: ワーキングホリデー協定を結んでいる国・地域の情報を集め、自身の希望に合った国・地域を選びます。
- ビザ申請: 各国の在外公館でビザを申請します。必要書類や手続き方法は各国によって異なりますので、事前に確認が必要です。
- 求人情報の収集: 日本での求人情報を収集します。インターネットの求人サイトやワーキングホリデー協会のウェブサイトなどを活用しましょう。
- 応募・面接: 求人に応募し、面接を受けます。日本語能力や経験をアピールすることが重要です。
- 雇用契約: 採用されたら、雇用契約書の内容をしっかりと確認します。不明な点は必ず質問し、納得した上で署名しましょう。
また、契約書の内容確認やトラブル発生時のアドバイスなど、就労後のフォローアップ体制も整えています。
よくある失敗例と対策:後悔しないために
- 契約内容の不理解: 労働条件を十分に確認せず、口約束だけで雇用契約を結んでしまうケースがあります。必ず書面で労働条件を確認し、不明な点は質問しましょう。特に、残業代や休日出勤の手当など、細かい部分まで確認することが重要です。
- 日本語能力不足: 日本語でのコミュニケーションが難しい場合、誤解が生じやすく、トラブルの原因となります。事前に日本語の学習を進め、基本的な会話ができるように準備しましょう。また、職場でのコミュニケーションを円滑にするために、積極的に日本語を使うように心がけましょう。
- ビザの知識不足: ワーキングホリデービザの種類や条件を理解していないと、就労できない場合があります。入国前にビザの情報を確認し、適切な手続きを行いましょう。ビザの有効期限や就労制限などについても注意が必要です。
チェックリスト:契約前に確認すること
- 労働時間、賃金、休日などの労働条件が書面で明示されているか
- 業務内容、就業場所、変更範囲が明確に記載されているか
- 有期契約の場合は、更新の上限や無期転換の機会・条件が明記されているか
- 日本語が理解できない場合は、翻訳サービスを利用するか、英語での契約書を作成してもらうか
- 残業代や休日出勤の手当など、細かい労働条件についても確認しているか
- 解雇に関する条項や退職時の手続きについても確認しているか
よくある質問(FAQ)
Q. ワーキングホリデービザで働ける仕事は?
A. ワーキング・ホリデー制度では、原則として全ての業種で就労が認められています。ただし、風俗営業に関わる業務や、公序良俗に反する業務は禁止されています(詳細は外務省のウェブサイトをご確認ください)。具体的には、パチンコ店やキャバクラなどの風俗営業に関連する仕事はできません。
Q. 雇用契約書は英語で作成してもらう必要がありますか?
A. 法令上、必ずしも英語での作成を義務付けるものではありません。しかし、外国人労働者が内容を理解できるよう、多言語でのモデル労働条件通知書の活用が推奨されています(厚生労働省)。これは、トラブル防止のための有効な手段となります。
Q. 最低賃金はどのくらいですか?
A. 令和7年度(2025年10月以降)の全国加重平均最低賃金は時間額1,121円です。地域によって異なりますので、お住まいの都道府県の最低賃金をご確認ください(厚生労働省)。また、最低賃金は毎年改定される可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
Q. ワーキングホリデー中に病気や怪我をした場合、医療費はどうなりますか?
A. 日本に加入している健康保険があれば、原則として同じように医療を受けることができます。ただし、ワーキングホリデービザの場合、国民健康保険への加入が難しい場合がありますので、民間の海外旅行保険などに加入しておくことをお勧めします。
Q. 労働条件について雇用主と意見が合わない場合、どうすれば良いですか?
A. まずは、雇用主に自分の希望や考えを丁寧に伝えましょう。それでも解決しない場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。
まとめ:次の一歩へ
ワーキングホリデーで日本で働く際は、雇用契約書の内容をしっかりと確認し、自身の権利を守ることが重要です。不明な点があれば、協会や専門機関に相談し、安心して就労できる環境を整えましょう。そして、異文化理解を深め、貴重な経験を積んでください。
この記事は、2026年8月11日時点の法令・情報に基づいています。最新の情報については、関係省庁のウェブサイト等をご確認ください。


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