フランスVSドイツという名目でお送りしておりますこの企画もいよいよ終盤です。
前回東京AMYがフランスの方言を書いてくれたので今日は私からドイツの方言を!
【中央集権か、地方分権か】
フランスやイギリスのように中央集権国家ではなく、ドイツは長らく「地方分権政治」が取られたことで有名です。
それぞれがそれぞれの地域や地域性、方言に誇りを持ち暮らしています。
ドイツ語の方言は、細かな訛りや用法まで含めますとなんと50種類を超えると言われています。
【分布と概要】
ドイツ語は話者数が世界で現在1億3000万人程度。
植民地政策がスペインやフランスのように南米やアフリカなど対外的に向いていたのとは対照的に欧州内のオーストリアなどに向いていたことが世界言語とならなかった要因となっているのは、ドイツ語の歴史の象徴でもあります。
また、植民地と言えば第二次大戦中にヒトラーが侵攻した「ラインラント地方」
ここってどこかご存知ですか?
ここは現在のフランスの東端「アルザス・ロレーヌ地方」。この地域では今でもその名残でドイツ語が通じるという意外な特徴も。歴史をたどると言語の見え方も変わってきますね。
ドイツ方言をまずはざっくり2つに分けると「北部方言」と「中部・南部方言」です。
私の住んでいたミュンヘンはこの中で言うと南部方言。
そこから東部や西部、スイスやオーストリアなども細分化されていくと、50種類を超える方言に分かれていくというわけですね。
現在最もきれいなドイツ語が話されている地域は「ハノーファー」近郊のニーダーザクセン地方と言われています。
【具体的にどうなっているのか】
それでは、極端な例にはなりますが、ドイツ本国とオーストリアを比較していきましょう。
ドイツ⇒赤 オーストリア⇒青でいきましょう
私⇒Ich(イヒ・イッヒ) Ich(イク)
こんにちは⇒Guten tag(グーテンターク) Gruess gott(グリュェース ゴット)
椅子⇒Stuhl(ストゥール) Sessel(ゼッセル)
階段⇒Treppe(トレッペ) Steige(シュティーゲ)
通り⇒Strasse(シュトラーセ) Gasse(ガッセ)
のような感じで意外に違いが多いですね。
【国内での比較】
私が住んでいたミュンヘンは、ドイツ国内でもかなり特徴的な方言を使う地域です。
「MIA SAN MIA」って聞いたことありませんか?
そうです。世界最強クラブチームの一つ「FC Bayern Muenchen」の合言葉です。
MIA SAN MIAは標準語だと「Wir sind Wir」
直訳すると「私たちは私たちだ」
サポーターと私たち、そして選手のポリシーやチームの理念を私たち(選手とサポーター)と一緒に、そんな意味でしょうか。
こういった形で全く形を変えて登場する方言がミュンヘンには数多く存在します。
例えば
Guten tag/Guten abend などのあいさつはすべて「Servus」(ゼルブス)(ゼアブス)
Servusは便利で、おはよう、こんにちは、いらっしゃいませ、ありがとうございます、さようなら、すべての意味でつかわれます(笑)
ミュンヘンでは困ったらServus!!
また過去形でよく使うのが「~しました」。の
Ich habe ~~過去分詞(イヒ ハーベ ~~)という表現。
しかしミュンヘンでは
Ich hab~~(イヒ ハプ~~)となり、少し省略気味に。
(これを使うとミュンヘン人とすぐばれます(笑))
またドイツ語共通で覚えておくと!という言葉をあげると「Bitte!」という表現。
Bitte! どういたしまして(英語のYou’re Welcome)
Bitte? もう一回言って?(英語のPardon?)
~Bitte! ~お願いします(英語のPlease)
Bitte どうぞ(英語のHere you are)
なんて万能。魔法の単語です。
【国と地域で方言はさまざま】
日本にも福岡弁や大阪弁、名古屋弁などあるように、それぞれの国にはもちろん独特の訛りをもつ方言や表現がたくさん存在しています。
それも「文化の一部」として受け入れ、学校では標準語を学びつつも、住んでる地域ではこういった単語や表現が使われているんだ、と覚えていくこともとても大切です。
私はよくお店で働いている際に「Servus」や「Ich hab~」の表現を使っているとお客さんなどからも「完璧なバイエルン方言だね!いいね!」とよく声をかけられたものでした。
実際に「郷に入っては郷に従え」ということわざもあるように、その地域特有の表現や用法を学んで使っていくと、その地域にも溶け込みやすいですし、相手も私たちのことをよく理解しようとしてくれます。
外国人の方が、日本語を標準語だけで話すよりも、お住まいの地域の方言を少しでも覚えてくれた方がうれしいですよね!
「方言だから・・・」「なまっているから・・・」と消極的に、マイナスに思わずに積極的にその地域の方言も吸収していきましょう。
次回はドイツとイギリスの二大ビール。「エール」と「ラガー」を徹底比較。
ぜひみなさんお楽しみに~!
福岡 しょうへい