インフォーラムの生徒たち、毎日ドラマがいっぱい。その中の良い話を今日は紹介しますね。
ブラジルから来ているロドリゴ(仮名)は20代後半、大学ではホテルマネジメントを専攻。
ホテルに就業中英語の必要性を感じ、Inforumへ英語習得の為にやってきた。
ポジティブでいつもにこやか。
姿勢と礼儀が正しく、話し方もソフトで、受付に斜め向かいに立ちながら重ねる両手はホテルマンそのものだ。
そんな彼がある日、学校に来て数分と経たないうちに顔を真っ赤にして受付に来たと思ったら、そのまま泣き崩れてしまった。
Solがインタビュールームへ抱えるように連れて行き、ポルトガル語で話を聞く。
なんと、大の親友が亡くなった知らせを、学校へ来た直後に家族から知らされたのだ。
小学校から一緒だった親友とロドリゴは、貧困から脱出する唯一の鍵は教育!、と
二人で一緒に励ましあいながら汗し大学の費用を稼ぎ、ロドリゴはホテルマネジメントへ
親友はビジュアルアートとフォトグラフィーを専攻したのだった。
ロドリゴがカスタマー・マネージャーへと出世するのと同時に、親友の写真の腕も世間に認められ、
ロドリゴがオーストラリアへ出発する頃には、若手売れっ子フォトグラファーとなり成功への道を上がり始めていた。
そんな親友が、ビルの屋上での撮影の時に、屋上から足を踏み外したのだ。
あまりにもショッキングな話に私たちも立ち尽くしてしまった。
貧困より成功へと向かって一緒に進んできた親友は一緒に戦ってきた戦士であり同志だったのだ。
それがこの様な事になるとは、どう、慰めろというのだ。
さっと部屋から出たダイアナがファイル室に入ると、長年の書類がたまった棚を何かを探しガサゴソ始め、
「昔、ポーランドの生徒がくれて、そのままになっていたの思い出した」と、ヴォッカを持ってきた。
Simonの ‘Go ahead!’ で DianaとSolでロドリゴの慰めの杯が始まった。
ヤケ酒、あまり良い響きではないが、皆一生に一回、「ヤケ酒でもかっくらわないと」しのげない事に対面する。
それがロドリゴには今なのだ。
どんなに二人で頑張って来たかの思い出話し、頑張れば救われる、という信念が崩された事への無念、
同志を無くし、戦い方を見失った絶望感が涙と一緒に繰り返し語らた。
その日から1週間、クラスメート、同じブラジルから来た友人たち、スタッフに支えられながらロドリゴには少しずつだが笑顔が戻ってきた。
そして彼がサイモンのオフィスにやって来た。
”Simon, do you have some time now? “ “Of course!”と迎えるサイモンに彼は座るなり宣言した。
「Simon 、僕は今、失望しきっています。
でも、亡くなった親友は僕のこんな姿を見たくないと思う。
彼は僕の成功を心から祈っていたから、僕は今まで以上にしっかり勉強して、彼の分まで誰よりも成功してみせる。
支えてくれてありがとう。でも、もう大丈夫。頑張るから見ててね。」
更に1週間後、Simonの机の上には彼の6ヶ月延長を希望する申込書が置かれた。
ビザの再申請も無事に済み、にこやかに、新たなる目標と希望を持って勉強をしている彼の背筋は、
ホテルマンの姿勢の良さだけではない人生へのチャレンジで、前より数段毅然として見えた。