イギリスのEU離脱が可決され、日々、状況が変わっています。
最近はニュースでもイギリスを見ない日がないくらい、世論も盛り上がっていますね。
さて、今回は「なぜ、国民投票をしたのか」そして「これからどうなっていくのか」を解説していきます。
【EUの便利な構造~シェンゲン協定~】
みなさんは、疑問に思ったことはないですか?
「なんであんなに自由に移民が行き来しているのか」と。
EUにはシェンゲン協定というものが存在しています。
シェンゲン協定とは、「人と物の移動の自由化」を目的にEU圏で採用されている、ビザなしの状態でも滞在が可能な、要は観光ビザのような形態。
あらゆる180日間の中で、シェンゲン協定内で90日の滞在が可能です。
要するに、例えばギリシャで入国審査を通ってしまえば、極端な話90日以内にポルトガルまで突っ切ってもほとんどパスポートは必要ないことになります。
シェンゲンに関する情報はこちらから
イギリスはシェンゲンには非加盟ですが、EUには加入していますので、この移民の影響をうけていることになります。
【押し寄せる移民】
さあ、ここからが本題です。
イギリスにはこれまで年間18万人程度の移民が流入していました。
収入の見込めない自国よりも、収入の見込みが立つイギリスに行った方が良いかと考えるのは当然ですね。
しかしイギリスは昔から土地不足が深刻な国で、家の建て増しができなかったりと人口急増に対しての対策を取るのが難しい土地柄でした。
また、原則医療費なども無償になるので、公的な医療費なども圧迫していました。
押し寄せる移民の影響で、現在人口もフランスを抜き、とうとうヨーロッパ2位(1位はドイツ)になりました。ロンドンは最新の推計でいくと、市民の2人に1人は「移民」という結果も出たほどです。
「仕事」「医療」「生活」さまざまな点で移民による圧迫が続いていたのは事実です。
【上がらない給料と減っていく雇用】
そして、一番の問題として揶揄されていたのが、「イギリスの給料が上がらない」という問題です。
景気は一向に改善に向かわず、給料基準も移民の人たちと同水準に、加えて失業率も上がって、雇用機会も減っていく、まさに悪循環。
若者は雇用機会を求めてオーストラリアなどの英語圏へワーホリで出稼ぎへ。
そういった状況が常態化していました。
「移民が減れば、イギリス人に回ってくる仕事がもっと増えるはずだ!」と市民が声を上げる気持ちもわかりますね。
しかし、単純労働などを移民に頼っていたのは事実。イギリス人自体が「仕事を選んでしまっている」状況なのに・・・という声も少なくはないです。
【今後はどうなるのか】
今後はまず、「ビザ」をどうするのか、の問題が出てきます。
現在はEUなので、移動は比較的楽ですが、離脱となるとビザをまた別でしっかりとってイギリスに行かないといけなくなります。
ドイツ人やフランス人は、ビザなしで渡航して、勉強して、仕事して、という風にできていたのができなくなるのはもちろん、日本人もEuro旅行はしにくくなります。(アイルランドに流れる説が濃厚ですね。)
また通貨の移動が自由にできにくくなるのが最も大きな懸念事項です。
証券・貿易など、多方面に悪影響を及ぼすと言われています。
証券関係や、イギリスの外国為替市場は、これからEU圏の特権であった通貨移動などのメリットを受けられなくなります。
数にするとおおよそ95万人の職に影響が出ると言われており、モルガンスタンレーなどの最大手の企業はアイルランド、もしくはドイツにヨーロッパ本社を移動させる計画を早くも発表しました。
その雇用人口が減ることで、経済も縮小することが予想され、これからイギリスの景気は「回復しない、むしろ悪化する」との予想も出ているくらいです。単純にGDPが落ち込むので当然の結果です。
【予断を許さないEU情勢】
さて、いかがだったでしょうか。
移民、経済、などなどいろいろな要因が折り重なり今回の騒動に発展しています。
スコットランドもそうですが、ウェールズも独立を示唆しており、まだまだ予断を許さない状況です。
「良くなるか」、「良くならないか」はもちろんですが、また「離脱するのか」「離脱しないのか」もまだまだ議論がなされていくかと思います。
円高で留学や旅行は行きやすくなりますが、経済などに与える影響は甚大です。(旅行者数は増える見通し)
ぜひみなさんも、ニュース等で逐一チェックされてみてくださいね!
福岡 しょうへい