スポーツ大会や式典など、様々なシーンで歌われる国歌。日本の国歌は「君が代」ですね。日本で生活していたら、一度も歌ったことが無いという人はいないでしょう。
でもあなたは「君が代」について、どれくらいご存知でしょうか?海外に行った先で、或いは日本に来た外国人から「君が代」について聞かれたら、英語で説明することはできますか?
今回は、「君が代」を英語で海外の人に説明する方法について考えてみましょう!
<もくじ>
・「君が代」の成り立ちを英語で説明しよう
・まずは「君が代」の歌詞を現代語訳しよう
・「君が代」の歌詞を英語で説明しよう
・「君が代」の成り立ちを英語で説明しよう
「君が代」の歌詞は、平安時代の歌集『古今和歌集(905年)』の中にある和歌が元になっています。初出は大変古く、1000年以上前のこの歌の作者が誰かは定かではありません。
「君が代」はとても良く知られた人気の和歌として、物語や御伽草子、小唄や歌舞伎、浄瑠璃など、様々な作品に引用され、歌われていました。この和歌が国歌として歌われるようになった背景には、実は何人かの外国人も関わっているようです。
まず、1869年(明治2年)に軍楽隊教官だったイギリス人のジョン・ウィリアム・フェントンが「日本に国歌が無いのは残念だ。何か良い歌詞にメロディを付けて国歌を作ろう」と働きかけ、「君が代」の歌に曲を付けました。
しかし、フェントン作曲の国歌は、西洋的なメロディが当時の日本人にあまり受け入れられず、検討の上廃止に。
一方、開国後国際的な式典などに参加する機会が増えた日本では、国歌の必要性がますます高まってきました。それを受けて1880年(明治13年)、宮内省雅楽課に再度国歌を作曲するよう国が依頼。宮内省伶人長の林廣守が雅楽の音階で作曲したメロディが選ばれ、ドイツ人海軍軍楽教師のフランツ・エッケルトが四声体に編曲し、今の「君が代」の国歌となりました。
これを海外の人に簡単に英語で伝えるとすると、こんな風に説明することができますね。
Japan’s National Anthem is “Kimigayo”. Its lyrics are based on a very old poem composed more than 1,000 years ago.(日本の国歌は「君が代」です。その歌詞は1000年以上前に作られた古い和歌をベースにしています。)
これだけ英語で伝えられれば、説明としては充分でしょう。
しかし、もしも説明する相手がイギリス人であれば、もう一言情報を付け加えてもいいかもしれません。例えば下記のように。
Interestingly, it was a British military musician, who first proposed to Japan to create a national anthem and composed the melody. The melody was changed later, but Kimigayo has been sung as the national anthem ever since.(興味深いことに、日本に国歌を持つよう最初に提案し、作曲したのはイギリス人軍楽師だったんですよ。彼の作曲したメロディはその後変わってしまいましたが、それ以来「君が代」が国歌として歌われるようになったんです。)
日本の国歌の成り立ちに自国の人が関わっていると知ったら、興味を持ってくれるかもしれませんね。
・まずは「君が代」の歌詞を現代語訳しよう
「君が代」を英語にする前に、まずはこの歌詞の意味を現代語で確認してみましょう。何度も歌ったことがあっても、何となく音で覚えているだけで、その意味なんてわざわざ考えてみたことない!という人も多いかもしれません。
改めて、君が代の歌詞はこちら。
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君が代は(きみがよは) 千代に八千代に(ちよにやちよに)
細石の(さざれいしの) 巌となりて(いわおとなりて)
苔のむすまで(こけのむすまで)
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まず、歌のタイトルにもなっている「君が代」。”君”とは自分の身近で親しい人に対する愛情を込めた呼びかけであり、”代”とは命や寿命のことを指します。
「千代に八千代に」は、具体的に千年や八千年という期間を指すのではなく、とにかく長い時間の象徴として書かれています。
「細石の巌となりて」は、小さな小石が大岩になるという意味。1000年前は、小さな木の芽が大木に育つように、ほんの小さな石が少しずつ集まり、遥かな時間をかけて大きな岩の塊になると信じられていたようです。
「苔のむすまで」はそのまま、小石が大岩になって、それが更に年月を経て苔むしていくまでずっと、という意味です。
まとめると、「君が代」とはこのような意味の歌詞になります。
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大切なあなたの命が、いついつまでも続きますように。
小さな小石が大きな岩になり、さらに苔むすまで長く。
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私たちが歌う「君が代」は、親しい人の長寿を祝う、祈りのこもった歌なのです。
明治時代に国歌として歌われるようになった際に、「君が代」とは「天皇陛下のご治世」という意味であり、国歌は「大日本帝国の末永い発展を祝う歌」だとされてきました。それは国民の愛国心を高めるため、元の和歌に敢えてそういった意味付けをして強調していたんですね。
・「君が代」の歌詞を英語で説明しよう
さて、それでは最後にこの歌詞を英語に訳してみましょう。
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My dear, hope your life will last long for thousands of years.
(親愛なる君、君の命が何千年も続きますように)
Until a small stone glows a huge rock.
(小さな石が大きな岩になるまで)
Until a huge rock slowly becomes covered in green moss.
(大きな岩がゆっくりと緑の苔に覆われるまで)
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いかがですか?
日本の国歌に関しては、様々な解釈があり、決して誰かに唱歌を強要するものではありません。
しかし、もし元々の和歌の意味を知ることで自国の国歌を好きになったり、誇りをもって海外に英語で紹介出来るようになったとしたら、とても素敵ですよね。
是非参考にしていただければ幸いです!
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