ニュージランドは「たばこの無い国」へ!

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「たばこは身体に良くないものである」という知識は、既に常識として世界に広まっています。しかしたばこが健康に害を与えるものであることを知っていても、法的に許される年齢になれば、「20歳になった記念に」「周りの大人が吸っているから何となく」喫煙を始める人は一定数居るでしょう。

 

逆に、法的に認められてさえいなければ、わざわざ法律を破ってまで吸う人の数は圧倒的に少なくなることは間違いありません。「健康に悪くとも、犯罪だと知っていても、どうしても吸いたい!」という中毒的な欲求は、まだ吸ったことが無い人には起こらないからです。

 

ニュージランド政府が、2009年以降に生まれた子どもが一生たばこを合法的に吸えなくなるよう毎年喫煙可能年齢を引き上げる喫煙防止法案を議会に提出し、話題になっています。今回は、「たばこの無い国」を目指して、取り組みを始めたニュージランドについて紹介します。

 


<もくじ>

・ニュージランドのたばこ規制新法案ってどんなもの?

・ニュージランドのたばこ事情

・ニュージランド以外の国のたばこ規制


 

・ニュージランドのたばこ規制新法案ってどんなもの?

ニュージランドの今回のたばこの規制に関する法案は、たばこの国内販売を段階的に規制していき、数十年をかけて全面禁止にしていこうとするものです。

つまり、現在ニュージランドでは18歳からたばこの購入や喫煙が認められていますが、合法的に喫煙可能な年齢がこれからどんどん上がっていき、生涯喫煙できない世代が増えていきます。例えば2050年には42歳以上の人、2080年には72歳以上の人しかたばこを購入できなくなるということです。やがて喫煙可能な世代が寿命を迎えると、ニュージランドは完全な「たばこの無い国(スモークフリー)」になる、という大変長期的な政策なんですね。

 

具体的な法案内容としては、以下の通りです。

■2009年以降に生まれた人にたばこを販売した人は、15万ニュージーランドドル(日本円で約1270万円)以下の罰金になる可能性がある。

■販売しなくとも、たばこを無償で譲った場合は5万ニュージーランドドル(約424万円)以下の罰金が科せられる可能性がある。

■加熱式たばこや、電子たばこは当面の間容認される。

 

実際にたばこを吸う若年層ではなく、若年層にたばこを提供する大人側に罰を与える内容になっているのがミソですね。まだ判断能力が十分でない若者がもし「なんとなくカッコイイから」「ばれなきゃ大丈夫」と言うような理由でたばこに手を出そうとしたとしても、結局たばこを入手できなければ失敗に終わります。400万円以上の罰金を支払うリスクを負ってまで、「お前も吸ってみろよ」と気軽にたばこを与える大人は決して多くないでしょう。

この法案は、2022年末の法制化を目指しており、実施されれば世界で最も厳しいたばこ規制の措置となります。

 

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・ニュージランドのたばこ事情

WHOが発表した2022年版の世界保健統計(World Health Statistics)によると、ニュージランドの国民全体の喫煙率は13.7%で、世界111位。日本の20・1%(89位)、アメリカの23.0%(66位)、フランスの33.4%(19位)などに比べれば、そこまで悪い数値であるとは感じられないでしょう。

しかし、ニュージランドのたばこ事情を説明しようとするならば、全体の数字だけを見ていても何も分かりません。ニュージランドの先住民であるマオリ族や、太平洋諸島の住民に目を向けると、見えてくる景色が全く違ったものになります。

 

2010年、ニュージランドのマオリ問題特別委員会は、たばこがマオリに与える影響についての調査を行い、「ニュージランド国民全体の喫煙率が低下している一方で、マオリと太平洋諸島の人々の間では逆に喫煙率が上昇していたこと」「特にマオリの女性の喫煙率は高く、同時に世界で最も肺がんの発生率が高い部類にあること」などを発表しました。

更には、「妊婦の喫煙による胎児絵の悪影響や、子どもの受動喫煙のリスク」、「たばこの与える悪影響は、マオリの伝統的長老文化の早期喪失を招き、若い世代に伝統や知識、歴史を伝えていく機会を奪うこと」などにも言及し、たばこは個人の健康だけでなく民族全体にかかわる問題であることを示しました。

 

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これを受けてニュージランド政府が2011年に打ち出したのが、2025年までに国民の喫煙率を5%未満にし、さらにたばこ販売店を現在の10%以下にすることを目指す「Smokefree Aotearoa New Zealand 2025」という健康推進計画です。

それ以降、ニュージランド政府は徐々にたばこの価格を引き上げ、現在では世界で最もたばこの高い国の一つとなっています。銘柄などにも寄りますが、その価格はたばこ一箱約30ニュージランドドル(約2,500円)!一箱500円台で購入できる日本と比べると、なんと5倍ほどもします。

 

新法案に関して議会で発表したアイシャ・ヴァーラル副保健相は、「たばこの税金引き上げによる効果はすでに限界に達している。これ以上値上げを進めても、禁煙促進の助けにはならない。たばこの中毒性による習慣を断ち切れずに苦しんでいる喫煙者をさらに苦しめることになる」と語り、政府はこれ以上のたばこの値上げは検討していないことを示しました。

今回の新法案は、Smokefree Aotearoa 2025の一環であり、たばこの値上げなどの間接的な対策から大きく一歩踏み出したものになります。

 

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・ニュージランド以外の国のたばこ規制

ニュージーランドの新法案のような取り組みは、実はアメリカやフィリピンの一部自治体などで既に行われた例がありますが、国家レベルでの導入は世界初めて。ニュージーランドはたばこ規制の先進国となります。

しかし、たばこ規制の動きはニュージーランドだけでなく、世界中で大きく広がってきています。

どんな規制があるのか、いくつかの国の例を挙げて見てみましょう。

 

【オーストラリア】

オーストラリアでは、国内すべての公共施設と交通機関において、喫煙は禁止されています。州によって多少ルールは異なりますが、基本的にレストランなどでたばこを吸える場所はありません。

屋外でも、未成年者が乗っている車内でのたばこの使用は違法ですし、ビーチやスポーツ施設など、人が多く集まる場所での喫煙は罰金が科せられます。公園などの開けた場所でも、子ども達が遊ぶ遊具などがあると、その範囲から10メートル以内での喫煙は罰金対象です。

また、オーストラリアは2020年9月までの4年間で毎年たばこ税率を12.5%ずつ引き上げ、1箱3,000~4,000円程と、世界で最もたばこが高い国となりました。このような厳しい条件下では、とてもじゃないですが、たばこを吸い続けようとは思えませんよね。

 

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【カナダ】

カナダのたばこに関する法律は州によって異なりますが、一般的なルールとして、カナダ全土で屋内の公共の場(レストランやバー、クラブなどを含む)での喫煙は禁止されています。自分の部屋であっても、アパートやコンドミニアムでのたばこは禁止されているところが多いですので、契約時に必ずチェックする必要があります。

屋外であっても、ほとんどの州で、出入り口から数メートル(距離は州によって異なります)以内は喫煙禁止。州によってはオーストラリア同様、自家用車の中での喫煙でも、子どもが同席していたらアウトです。例え窓が開いていてもサンルーフが開いていてもNG。受動喫煙のリスクを考慮し、ルールを徹底しているのが良く分かりますね。

 

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【イギリス】

イギリスでは、レストランやバー、パブなどを含むすべての公共施設の屋内での全面禁煙に加え、たばこの陳列販売禁止というルールも定められています。日本のコンビニなどでは、ずらりと並んだたばこのパッケージが目に入ってきますが、イギリスではたばこの陳列棚はカバーで隠され、客の手に届かないカウンターの奥に設置されています。わざわざたばこを買いに来た客以外の人の目にたばこの箱が目に触れることはありません。

 

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ここで紹介したのは3か国だけですが、ニュージーランドを含め、それ以外でも非常に多くの国や地域で基本的に屋内でのたばこは禁じられています。これから留学やワーキングホリデーなどで海外での長期滞在を計画している人は、今のうちから禁煙に取り組むことを強くお勧めします!

 

学校施設、学生寮やホームステイ先、シェアハウスなどの滞在先でたばこを吸うことは基本的に禁止されています。たばこの習慣があるが故に滞在先が見つからない……どこに行っても肩身が狭い……海外経験の為に貯めた渡航費用が高額のたばこ代に消える……などどいう悲惨な目に合わないよう、是非海外渡航を禁煙の機会にしていきましょう!

 


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この記事の内容は 2022年11月16日 (水) に書かれたものです。

情報が最新ではない可能性がありますのでご注意ください。


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タグ : イギリス, オーストラリア, カウンセラー:Manami, カナダ, たばこ, ニュージーランド, 喫煙, 煙草, 禁煙

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