【TOEIC250点からの挑戦】カナダ留学体験記/野球指導ボランティアVol.5~カナダの教育観と評価基準~

こんにちは!福岡オフィスのTAKUYAです。

ついにこのシリーズも折り返し地点になります。

今回も前回の続編でお送りさせて頂きます。

 

 

野球指導ボランティアVol.5~カナダの教育観と評価基準~

前回は「日系カナダ人の野球文化」というタイトルでお伝えさせて頂いたのですが、

今回は「日系カナダ人」のみならず「カナダ人(カナダに住んでいる人)」全般に通じる”教育観”やBASEBALLの”評価基準”についてお伝えさせて頂きます。

 

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私がカナダで野球指導していく中で、日本との一番大きな違いを感じた点というのは、

エラーや三振などをした際に、全く”怒らない”ということでした。

 

私が日本で野球をやっていた時の練習や試合の時は、

怒られるのが当たり前で、逆に何も言われない方が怖いというくらい口うるさく怒鳴られながらプレーをしていました。

⇒たぶん野球経験者のほとんどの方が同意して頂けると思いますw

 

そのため、指導者側になってもそれが普通で、自然とグラウンドに入ると口が悪くなるという方は日本の野球経験者のよくある話かと思います。

 

しかし、それがカナダになると基本的に通用しません。

 

もちろんチームの決め事やルールを破った子供に対して怒る事はあっても、

プレーの中での三振やエラーなどのミスに対しては「ナイストライ」や「ネクスト(次に切り替えろ)」といったポジティブな言葉が選手同士はもちろん、指導者からも交わされます。

 

これは”野球”のみならず、他のスポーツや学校の先生までもが同じで、

カナダ全土で通じる”教育観”になるそうです。

 

そのため、カナダの野球少年たちはミスを恐れることなくどんどん自分からボールを取りにいきます!

⇒私の現役時代は打球が飛んでくるのが嫌で仕方なかった、、、(笑)

 

逆に積極的に取りにいきすぎて、連携プレーが乱れる事もありましたが、

譲り合うような消極的なミスを見る事はほとんどありませんでした。

それくらい見ていて気持ちいいミスを連発してくれるのもカナダ少年野球の魅力かもしれませんw

 

約1年半の間でカナダの少年野球(5歳~15歳くらい)を見させて頂きましたが、

やはりプレーの技術やレベルは間違いなく日本の子ども達の方がはるかに高いと感じましたし、

純粋に「野球が好き」という思いや「野球を楽しむ」という部分ではカナダの野球少年達に分があるのではないかと正直感じました。

 

そんなカナダの野球少年を見てきて学んだ、大きな違いのもう一つに”評価基準”があります。

 

これはカナダの少年野球チームのシステムでもあるのですが、

基本的には自分が住んでいる街の野球チームにしか所属することができないという決まりがあり、

他の地域のチームに所属したければ、そのチームと自分が所属すべきチームとの間で選手のトレードを行う必要があります。(もちろんお互い合意の上で)

 

また、そのチーム内でレベル分けがされており、

「Bantam」や「Pee Wee」などという名前で呼ばれています。

 

そのレベル分けはシーズン前に行われる”トライアウト”を経て所属レベルが決定します。

つまり、日本のように学年や年齢で分かれているわけではなく、その子のレベルに合わせたチームでプレーすることができます。

⇒すごく海外っぽいよなぁ~と個人的には感じていましたw

 

そんなトライアウトでの”評価基準”というのが、またもBASEBALLっぽさが垣間見えるところだったわけですが、

 

その評価基準というのが

「どれだけ速い球を投げれるのか」

「どれだけ遠くに飛ばせるのか」

「どれだけ足が速いのか」

 

というすごくシンプルなものでした。

⇒野球ってもっと深いのに、、、涙

 

こうなってくると、やはり欧米系の身体が大きな子達に分があるようになってくるわけですが、

これがカナダをはじめとする”BASEBALL”の評価基準になるそうです。

 

これはメジャーリーグ手前の”3A”や”PBL”というトップレベルでも適応されており、

その中で投手であれば「コントロールが良い」とか「投球術が凄い」とか、

野手であれば「守備がうまい」とか「右打ちがうまい」などのプラスアルファがある人が夢の”メジャーリーグ”に昇格する事が出来るというのがBASEBALLのシステムであり”評価基準”になるそうです。

 

そのため身体の小さな日系カナダ人の野球少年達は、

その”評価基準”に苦しめられているというのが実際の現状だそうです。

 

いつか日本のスモールベースボールが”世界”で評価を受け、この”評価基準”が多少なりと変化し、

「日系人でもメジャーに行ける」という日が来るのを私は心から願っています。

 

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長くなりましたが、こういった”違い”の中で、

それを受け入れ、文句言うことなく励んでいる彼らの姿をこれからも応援していきたいと思います。

 

 

次回【野球指導ボランティアVol.6~日本に勝つために~】に続く

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福岡オフィス Takuya

【TOEIC250点からの挑戦】カナダ留学体験記/野球指導ボランティアVol.4~日系カナダ人の野球文化~

こんにちは!福岡オフィスのTAKUYAです。

今回も前回からの続編でお送りさせて頂きます。

 

 

野球指導ボランティアVol.4~日系カナダ人の野球文化~

ついに目標でもあった「海外で”野球”に携わる」というチャンスを得ることができた私でしたが、、、

 

やはりそう簡単なことではありませんでした。

 

”野球”というスポーツのルールはもちろん同じなのですが、

子供たちに対する教育観や指導法、ピッチングやバッティングフォームなどの基礎に至るまで大きく異なっていました。

 

その要因を私なりに考えていったのですが、、、

私のように日本で野球を始めた子供達やその指導者は、日本の”プロ野球選手”や甲子園の”高校球児”をお手本にしていることがほとんどです。

 

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それが”カナダ”の子ども達やその指導者になるとお手本は、”メジャーリーガー”になってきます。

 

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つまり、お手本が違うということは、

学校教育でいうところの”教科書”が異なるため目指す方向性が異なってくるのは当たり前のことかと納得できました。

 

さて、ここからが本日の本題でもあるのですが、、、

 

バンクーバー朝日の”新朝日軍”の選手はというとほとんどがカナダ生まれの日系人になります。(日系カナダ人)

 

そのため、彼らの一番身近な”憧れ”、つまりお手本は「メジャーリーガー」になります。

→カナダでもメジャーリーグのシーズン中は毎日のようにテレビ中継されています。

 

ですが、彼らの身体的な部分は「日本人」になるわけです。

 

つまり、脳内にあるお手本や憧れは”メジャーリーガー”

(いわゆる”白人”や”黒人”、”ヒスパニック”系の選手を指しています。)

しかし、それを実際に表現する身体は”日本人”というギャップが生まれていました。

 

と言っても、「そんなに大きく違わないだろう」とか「同じスポーツをやってるんだから」と思われる方も多いかと思いますが、

”野球”や”身体的”な知識を専門的に学んできた経歴のある私からしたら「違うスポーツをやっている」というくらい大きな違いがありました。

 

わかりやすい所でいうと、

メジャーリーガーのほとんどが”上半身”に優位性のある投げ方や打ち方をする選手に対して、

日本のプロ野球選手はその逆の”下半身”を中心とした投げ方や打ち方をする選手がほとんどです。

 

それは”日本人”は”メジャーリーガー”に比べて非力だということもありますが、

それ以外にも専門的に言うと骨盤が”前傾”しているか”後傾”しているかの違いなどもあり、

この”ギャップ”は、指導していくうえで私にとって大きな壁となって現れました。

 

しかし、だからこそ日本で野球経験のある私をコーチとして迎え入れてもらえたわけで、

その期待に応えられるように責任感を持って主体的に頑張ろうと思うことが出来ました!

 

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このように同じ”野球”というスポーツを教えるにしても、

海外に行くとその土地の”文化”や”バックグラウンド”、”教科書”(お手本)によって大きく異なってきます。

 

そういった”違い”を分析し、受け入れつつ、

その土地での”最善”を考えていく経験というのは現在の私の人生においても大きな糧となっています。

 

ただ「海外で”野球”に携わりたい」と思ったのがキッカケでしたが、

その中でこういった日本ではないような学びが自然に起こるのが海外生活の醍醐味かと思います。

 

キッカケは何でもいいので、まずは”行動”を起こして”飛び込んでいく”勇気さえあれば、

必ずそこで何かしらの”学び”に繋がってくるはずです!

 

”勇気”を持って、”一歩”を踏み出していってくださいね。

次回【野球指導ボランティアVol.5~カナダの教育観と評価基準~】に続く

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福岡オフィス Takuya

【TOEIC250点からの挑戦】カナダ留学体験記/野球指導ボランティアVol.3~バンクーバーの朝日~

こんにちは!福岡オフィスのTAKUYAです。

今回も前回からの続編でお送りさせて頂きます。

 

 

野球指導ボランティアVol.3~バンクーバーの朝日~

あの電話から1週間が経ち、バスと電車を乗り継いで指定された住所に向かいました。

案の定、その日のバンクーバーは雨。。。

 

「ここまできたのに中止とかやめてくれよう」と心の中で願いながら、ついに指定された住所に辿り着きました。

 

そこは、、、、

”Richmond Olympic Oval”

と五輪マークが書いてある大型室内施設でした!

 

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「えっ?室内で野球をするの?」と疑問に思いつつ

中に入っていくと、そこは、、、

 

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・アイスホッケーコート2面

・バスケットコート4面

・フットサルコート2面

 

それに加え、卓球コートやバッティングゲージにランニングトラックまでが同じフロアに併設されている超大型室内施設でした!

→日本にはない規模の大きさにビックリΣ(゚Д゚)

 

ここは2010年のバンクーバー冬季五輪の際に”スピードスケート”の会場として使用され、

日本の天皇・皇后も訪問したことがあるというくらい有名な施設で、

五輪後に現在のように改修されたというのが、この大型室内施設誕生までの過程になります。

 

日本では決して見る事のない大型施設に驚きつつ、

野球の打球音が聞こえるバッティングゲージの方に足をすすめていきました。。。

 

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すると、そこには「Asahi」と胸に書いてあるTシャツを着ている子供たちが多数!

コーチ陣っぽい大人達が集まっている奥の方に近づいていくと、、、

 

「あれ?君が電話をくれた日本人?」と声をかけられ、

「あっ!そうです。よろしくお願いします!!!」とバリバリ体育系な挨拶で握手をすると、

早速、選手たちを集めてくれたその人は子供たちに英語で話しかけました。

 

「あれ?朝日はみんな日本人の子達とかじゃないの?日本語は通じないのかな?」と、

選手たちとの顔や会話を見ていると、、、

 

見た目は明らかに日本人っぽい顔立ちな子がほとんど、、、(中には他の人種の子もちらほら)

会話は、、、めちゃめちゃネイティブスピーカーの英語でコミュニケーションを取り合っていました。

 

「なら、自己紹介をお願いします!」と子供たちの輪に投げ出された私は、、、

拙い英語で簡単な自己紹介を行いました。

→My name is、、、、、(笑) ご想像にお任せしますw

 

なんとか子供たちから歓迎の拍手をもらい、選手たちは練習に戻っていきました。

 

取り残された私は先ほどのコーチらしき人に声をかけ

その人から「バンクーバー朝日」の歴史や現在の活動内容に至るまで詳細を聞きました。

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◆バンクーバーの朝日とは?

⇒バンクーバー朝日は、1914年から1941年までカナダ・バンクーバーで活動していた日系カナダ移民の二世を中心とした野球チームです。

 

当時の日本人は”人種差別”と過酷な”低賃金労働”に耐えながらも勤労に勤しんだため、

現地の白人たちから「日本人が白人の仕事を奪っている」として排斥されたり日本人街が襲撃されることもあったといわれています。

 

そんな中で、「日本人の誇りを白人に見せつけたい」という思いから、”バンクーバー朝日”という野球チームは結成されました。

野球のプレー中であっても、ラフプレーを受けたり、白人審判による不公平なジャッジに苦しめられるも、日本人の精神である”フェアプレー精神”を貫き、いつしか多くのカナダ人を魅了し、日系人とカナダ人の架け橋になっていた伝説の野球チームとなりました。

 

この功績が認められ、約60年の時を経て2003年にカナダ野球殿堂入りチームに選ばれ、再び脚光を浴びました!

 

そして2014年に映画「バンクーバー朝日」が制作・公開されたこともあり、バンクーバーにて「新朝日軍」として復活したというのがこれまでの簡単な生い立ちになります。

(興味を持たれた方は、映画「バンクーバー朝日」を是非ご覧ください!)

 

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つまり「新朝日軍」として復活したチームは、現在も日系カナダ人を中心として活動しつつも、

カナダという移民国家の中で、国籍や人種で差別することなく、

様々な国籍や人種、バックグラウンドの子ども達が集まり、”野球”というスポーツを通して子供たちが交流している野球チームになります。(5歳~15歳まで)

 

そのため共通言語は、もちろん”英語”!!!!

中には多少日本語ができる子供たちもいたものの、見た目は日系人でも日本語が話せない子や、

日本に行ったことのない子供たちも多く、日本でしか暮らしたことない私にとっては当初すごく違和感に感じたのを今でも覚えています。

 

そんなバンクーバー朝日の「新朝日軍」で指導していくことになった私ですが、

指導にあたる上で、大きな”試練”が待ち受けていました。。。

 

 

次回【野球指導ボランティアVol.4~日系カナダ人の野球文化~】に続く

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