25日金曜日、アイルランドで人工妊娠中絶合法化への法律改正を巡る投票がありました。
Ireland’s abortion referendum result in five charts [THE IRISH TIMES]
投票の結果、66.4% : 約2/3の人が”Yes”に投票し、アイルランドは人工中絶の合法化に向けて進むことになります。
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1983年に決定した人工妊娠中絶の違法化
1983年に行われた投票により、アイルランドでは人工中絶が禁止されています。
この中にはレイプや近親相姦、母体に危険がある場合も含まれ、原則、妊娠すると中絶することができません。
この法律は「新しい命にも平等の権利を与える」という思想のもとにあり、キリスト教の力が強い国には稀に見られます。
しかし投票が行われたのは35年も前で、現在54歳以下の人はこの投票には関わっていません。
※今回の投票でも、65歳以上の投票のみは”No”が過半数になっています。
現在、アイルランド国外での人工中絶は認められています。
その為、毎年数千人の女性が人工中絶の為にイギリスへ渡航しています。
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2012年 : Savita Halappanavarさんの死
この記事を巡って、この女性の写真を見る機会が多くあります。
彼女の名前はSavita Halappanavar
2012年、妊娠17週間だったSavitaさんは異常な背中の痛みを訴え、病院に駆け込みます。
Savitaさんはウイルスに感染している可能性を訴え、人工中絶を訴えるも、病院は感染を確認できず、人工中絶も拒否されました。
その後、ウイルスに感染していたことが分かり胎児は死亡、Savitaも死別してしまいます。
これを受け、2013年からアイルランドでは「母体に死の危険がある場合のみ」人工中絶が認められるようになりました。
この”母体の死の危険”には、自殺も含みます。
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投票の行方
今回の投票の為、国外にいるアイルランド人の女性が世界中からアイルランドに帰国しました。
SNSでは#HomeToVote(投票の為に帰ろう)というハッシュタグがホットトピックに上がります。
日本から帰国した、アイルランド人女性も記事の中に書かれていました。
冒頭の通り、選挙の結果は2/3が法の改正に賛同。
アイルランドは、年内に人工中絶の合法化を実現できるよう動き出します。
この合法化には「妊娠12週間以内の全ての妊婦、12週間異常は母体に危険があるのみ」という条件が付いています。
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僕は、人工中絶が簡単に選択されるオプションになることには否定的です。
その上で、前述のようなレイプのような形で妊娠してしまった / 妊娠している女性に危険がある場合は選択の権利があるべきだと考えます。
僕に選挙権があったら、やはり”Yes”に投票していました。
また、今回のことでは性教育についても考えさせられます。
イギリスにいる人たちと話していて、僕は自分の性の知識の少なさについて気付かされることがあります。
女性の生理についてであったり、避妊の方法であったり。
人工中絶の対象はレイプや母体に危険がある場合のみでなく、もちろん、不用意なセックスによって起こる望まれない妊娠にも及びます。
新しい命を大人の都合で絶たせる事がないように、未成年や若い世代への適切な性教育の大切さを、改めて考えさせられます。
( 文 : 杉 浩毅 )
[今回参考にしたニュース記事]
Ireland votes by landslide to legalise abortion [The Guardian]
Irish abortion referendum: The people travelling #HomeToVote [BBC]
Ireland abortion referendum: What is the law? [BBC]
‘Remember Savita': father’s plea for voters to end Ireland’s abortion ban [The Guardian]
ここ数日、頭の中にあるメロディーの曲名が思い出せずにもんもんとしていました。
ふと思い出した曲はALTというバンドの曲で、それ以来、このアルバムばかりリピートして聞いています。
「難しく考えるのは簡単で」
「初期衝動に忠実に、鳥肌を信頼して」
「今は何もなくなったあの方向から歩いて来たんだっけな」
久しぶりに聞くALTの曲は、一曲の中だけでも何回も歌詞に「ハッ」とさせられます。
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